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日系でも拡がる熱間プレス


  鉄鋼メーカーやプレス部品メーカーが熱間プレス(ホットスタンプ)への取り組みを強化している。新日鉄住金ユニプレスが生産性を大幅に高めた工法を開発したほか、独立系の東プレ、ホンダ系のジーテクトは米国での量産に取り組む。 熱間プレス部品は、高張力鋼板(ハイテン材)を使った冷間プレスよりも高強度のプレス部品を作ることができることが最大のメリット。欧州メーカーで広がった方法だが、これまでは効率の悪さがネックだった。工法の改良により生産性が上がったことで、日本の自動車メーカーでも採用が始まった。
  熱間プレスは鋼板を高温で熱し、プレスで成形、焼入れする工法で、欧州の自動車メーカーで採用が広がっている。焼き入れすることにより強度が増すため、ハイテン材を使った冷間プレス部品よりも強い1500メガパスカル級(150キログラム級)の引っ張り強度を持つ骨格部品を作ることができる。材料の鋼板はハイテン材のように硬くないため、複雑な形状の部品を作りやすいというメリットもある。
  従来の熱間プレスは熱した鋼板を常温の金型で成形・焼入れするため、生産スピードが遅いことが課題だった。新日鉄住金とユニプレスは、金型内で鋼板を直接水冷する方法を共同開発。常温での焼き入れよりも早く冷却でき、生産性を3倍に上げることができた。ユニプレスは小山工場に熱間プレスの生産設備を設置し、日産「フェアレディZ」の部品の生産を始めた。
  車体骨格部品は衝突時や車両が横転した際に乗員を保護するため高い強度が求められる。一方で燃費向上のための軽量化も必要。これらの要件を両立する方法として、日系自動車メーカーでは軽くて強いハイテン材を使った骨格部品の採用を増やしている。高成形性超ハイテン材製のBピラー By ニッサンユニプレスは冷間プレスでは最高強度の1200メガパスカル級(120キログラム級)の超ハイテン材を使ったプレス技術を確立。同技術で作った骨格部品が「インフィニティQ50」(日本名スカイライン)に採用された。しかし、より強度の高い骨格部品を作るには熱間プレスで対応するしかない。このため、日本の自動車メーカーも熱間プレス部品に注目するようになった。
  熱間プレス部品に取り組むのはユニプレスだけではない。東プレジーテクトは米国で量産を始める。東プレはアラバマ州の工場で今年6月から「オデッセイ」向けに熱間プレス部品の生産を始める。ジーテクトもホンダ向けの熱間プレス部品を生産することを目的に、オハイオ州に新会社を設立した。東プレは金型内に水路を設けて鋼板を間接的に冷却する方法を採用し生産性を向上させた。これに対し、ジーテクトは、ユニプレスと同じ直接水冷方式を採用して生産性を高める考えだ。日産やホンダに加え、トヨタ自動車も熱間プレス部品の採用拡大を検討しており、トヨタ系の部品メーカーが熱間プレスの量産に向けて検討を始めている。
  ハイテン材の採用を中心にしてきた日系自動車メーカーが相次いで熱間プレス部品の採用を始めるのは、車の乗員保護のため、ハイテン材では対応できない領域の強度が車に求められるようになってきたためだ。特に米国では、衝突安全性能によって車の保険料が大きく異なるため、より高い安全性を確保することが、車の売れ行きを左右する。米国向けの車で熱間プレス部品の採用が増えているのはこのためだ。熱間プレスはハイテン材を冷間プレスするよりも成形性が良く、プレス加工の難易度が低いこともメリットだ。ただ鋼板を熱する時に二酸化炭素を排出することが欠点で、地球温暖化防止の観点から、二酸化炭素の排出を低減するための改良も課題になりそうだ。




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