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第1回:「あの人はどうしたら自立してくれるのか?(共依存)」


■なんでいつも同じことばかり言わせるんだろう?
まったく・・、何回言っても解らないんだから・・・。
言われないと動かない人をどうしたら自立させることが出来るのか?

こんな経験、会社でも家庭でもありますよね?
では、「自立している人」っていったいどんな人間なんだろう?

一般的に自立している人のイメージって、
「自分に厳しい」
「甘えがない」
「責任感がある」
などといった、イメージありますよね・・。

実は自立している人ほど、過去に周りの人間から、「褒められた(認められた)」経験が、たくさんあると言われています。

これ、どういうことかというと・・・、

人は「自分に自信が持てない」と自立出来ないと言われています。
自信と自立、なんだかおかしな話ですよね。でもそうなんです。


■褒められたと言っても、漠然と褒めれば良い訳ではないですよ。
ここで言っているのは、ありのままの自分を認めてくれた経験です。

ありのままの自分を認めてくれた経験とは、いったいどんな経験なのか、少し説明していきますね。

人はいつでも完璧ではありません。
良いところも、悪いところもあって不完全なものです。

例えば、太郎さんは、設定した目標に到達出来なかったとします。
ボール投げで、例えるならば、ボールを10メートル遠くに投げることが目標だったとします。
しかし、残念ながら今回も太郎さんは、ボールを10メートル遠くに投げることは出来ませんでした。
でも、前回は5メートルだった数値が、今回は7メートル遠くに飛ばすことが出来ました。

目標の数値までは飛ばせなかったけれど上司は前回よりも2メートル飛ばせた太郎さんの行動や頑張りを褒めてあげました。
そして、あと3メートル飛ばすために何が必要か?どこが反省点なのかを質問してあげました。
結果は確かにダメだったけど、今までのプロセスの頑張りを認めてあげ、さらに、上司は太郎さんが今いる「位置」を教えてあげました。
今いる位置とは、結果はだめだったけど、前回よりも2メートル前に進んでいるよといったものです。

たとえ、前回よりも数値が伸びてなかったとしても、仮に数値が減っていたとしても太郎さんを信じて、そんなスランプの太郎さんを認めてあげましょう。

そんな時もありますよ。だって人間なんですもの。

貴方を信じている、だからどんな時の貴方もありのままを認めてあげるよ、というメッセージを送ることが大事なのです。

そりゃあもちろん厳しく叱ることも必要でしょう。
でも、出来ないからといって、叱りつけてばかりでは、相手はどんどん自分に自信を失い、前に歩いていくことが困難になってしまいます。

どうしても伸び悩んでいる時は、意識が集中できない原因となっている何かが他にあるのかもしれません。そんな時は質問してあげましょう。

「今、心でぼそって思った(心の声)を言葉にだしたらどんな台詞になる?」
「今どんな気持ち?」
悔しい、出来ない、との否定的な答えが出てきたらなんで悔しいと思うのか、何で出来ないと思うのか、聴いてあげましょう。

そんな気持ちを持っちゃいけないと叱るのではなく、そんな気持ちをもった太郎さんを、まるごと認めてあげましょう。

人はいつでも完璧ではありません。
良いところも、悪いところもあって不完全なものです。
確かに自分は100%じゃないけど、でも今のまま順調にこのまま進んで大丈夫なんだ。良いとこも悪いところもあるけれど、今のままでオッケーなんだという自信を自分につけることが出来てはじめて、一歩ずつ自ら前に進んでいけることが出来るといわれています。


■では、次は違ったケースを説明しましょう。

相手を自立させるどころか、逆に相手を無責任な人に育ててしまう人がいます。

皆さん、「共依存(きょういぞん)」って聞いたことありますか?
え?聞いたことがない?
そうですよね、あまり知っている人はいないかもしれません。
でも、この知識、知っておくといろいろな場面で非常に役にたつものなので、今日は最後にこのお話をしたいと思います。

似た言葉で「依存症」というものがあります。

例えば、アルコール依存症とは、自分の心にぽっかり空いた「穴」 これはいろいろな理由で出来るものですが、不安や、悲しみ、抑圧、苦しみ いろいろなものが重なって 心にぽっかりと「穴」が空いてしまうことがあります。

これを「空虚(くうきょ)」といいます。

人はこの空虚を必死で何かで埋めようと努力します。
アルコール依存症の人はこの空虚(穴)をアルコールで埋めようとするのが特徴です。

では、共依存の人はどうでしょうか?

同じ空虚(穴)を埋めようとする部分は同じですが、共依存の人はアルコール依存症のように自分に何かをすることで空虚(穴)を埋めるのではなく、他人に何か影響を与えることで空虚(穴)を埋めるのが特徴になっています。

たとえば、親子の場合・・・

何度注意してもテレビばかり見て勉強しようとしない子供に対して、
親:「またテレビばかり見て!少しは勉強しなさい!何度同じこと言わせたら気が済むの!」
子:「うるさいな〜後でやるよ」
親:「まったくあんたは口だけで全然やらないじゃない。こないだだって・・くどくどくど」
子:「・・・」

こんな経験、誰もがありますよね。
でも・・こうなってしまう原因、実は「親」にあると言われています。
実はこれが共依存の一番の特徴なんです。
え?びっくりしましたか?

では、親の心の中をのぞいてみましょう!

この子はテレビばかり見て、勉強しないから将来どうなってしまうか心配・・
またテストの点が悪くなるんじゃないか・・・
来年は受験だし、このままじゃこの子の人生はどうにかなってしまうんではないか・・

このような親の不安が心に空虚「穴」を空けてしまい親は無意識にこの「穴」を子供に何かをすることで 「穴」を埋めようと必死になります。
これが、子供にくどくど説教する親の仕組みです。

実は、共依存の人が近くにいると、相手(この場合でいう子供)を無責任な人間に育ててしまうという大きな特徴があります。親は子供にいろいろしてあげたり、干渉したりすればするほど子供は自己責任がもてなくなってしまうと言われています。
実は、日本人の約9割が共依存だとも言われています。
誰かのために自分を犠牲にして、何かをしてあげることが 「美徳」と言われてきた時代が長く続いてきました。でも、そのためにこの共依存の割合が増えてきたのも また事実です。

共依存は、上司と部下にもたくさん発生するとも言われています。
こんな言い方したら相手が不快に思うのではないか?と考え過ぎるのも、共依存の特徴です。

大事なのは、自分と相手を信じて、自分と相手との間に境界線を 引くことです。

部下が悩みを持ちかけてきたら、この部下はこのままほっといたらどうにかなってしまうのではと不安になり上司の心に空虚が出来てしまいます。
部下が悩みを持ちかけてきても、「うーんどうしたらいいんだろう」と一緒に悩んでしまってはいけません。

相手の悩みを自分の悩みにせず、自分と相手との間に境界線を引きいかなる時も客観的になり、自分はどうしたいのか?今の気持ちをどうなのかを質問してあげましょう。

親や上司がしなくてはいけないことは、自分の子供の人生や部下の人生の悩みを自分の悩みにすることではなく、自分の空虚を人に何かをして埋めることでもなく、子供や部下の失敗の責任を負わなくてはいけないことでもありません。
すべての人生はその人の自己責任の上に成り立ち、その人の行動や言動が、その人の人生の結果となることを理解させるよう教育していくことです。

大事なのは、相手を信じ、時には叱り、時には失敗もまるごと認めてあげ、相手を信じているそんな自分を信じてあげることです。

「あの人はどうしたら自立してくれるのか?(共依存)」
皆さんはどう思われましたか?


天野 誠子(あまの せいこ)
(有)バランスソリューション代表
自分自身が心理学を学べる教室の運営
ビジネス心理学を活用した研修事業
http://www.balance-solution.co.jp/