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  人を育てる・生かすシリーズ:新規&中途採用と育成

良い会社とは何か?
1.企業価値を決めるものは
会社の良し悪しを判断する材料はいくつもありますが、あなたはどんなところで判断しますか?財務状況でしょうか?それとも新商品の開発力でしょうか?あるいは世間の信用?歴史?

まあ、いろいろと企業の価値を決める方法はあると思いますが、よく言われる経営資源である「人・モノ・金・情報」という観点でいけばどれでしょうか?おそらく大概の人が、特に経営者は「そりゃ人だよ」って言うでしょうね。

でもホントにそうでしょうか?というより心底そう思っている経営者はいったい何人いるでしょうか?いまだにモノ優先、利益優先の体質が抜けきれない会社がまだまだ存在しているんじゃないかと思います。先だってのJR西日本の事故が良い例です。本当に企業の価値を人が決めるという考え方に立脚していたら、あんな事故は起こらなかったのではないでしょうか?それは価値という本質を誤って捉えている典型的なパターンのように思います。

つまり利益は人が生む。だから人が大事という推論の飛躍が生み出した論法です。販売会社にありがちかもしれませんね。賛否はあるかと思いますが、誤解を恐れずに言えば営業マンに高いインセンティブを支払い、やる気を引き出す方法は両刃の剣です。金のために仕事をするという体質からは「人が企業価値を生み出す」という土壌は生まれ難いかもしれません。


2.どうしたら見込みのある人材が採用できるのか
さて、人が企業の価値を造るというお話から、今日のテーマであります「採用」の話に入っていきましょう。

ある自動車販売会社の社長と話していた時のことです。私は教育のコンサルタントとしてお伺いしており、どんな教育が現場の役に立つかという話題の時に、その社長から、「いやー、採用なんて簡単なことだよね。いい人間をとろうとするから大変なんだよ。人間の本質は皆同じ。ましてや学生さんはそんなに能力の差なんてないし、経験の差はない。だから入社してからの教育。これが大事なんだ。人間は教育次第でどんどん良くなっていくよ。」

確かにある意味では真実をついていますが、はたしてそこまで言い切っちゃっていいの?という疑問も浮かびます。皆さんはどう思われますか?教育コンサルタントとして仕事が増えて嬉しい悲鳴の一つも上げたくなるんですが、そこまで言われると実も蓋もなくなってしまい、最近あちこちで産声を上げている採用ビジネスに携わるベンチャー企業の方々は「何をっ!」と目を向きそうな話ではあります。

過去に某外資系自動車メーカーで人事の仕事をしていた私は、ちょうど80年代後半から90年代の前半のバブルの頃に採用の仕事をしており、そりゃもう大変な思いをして毎日学生と面接をしておりました。中途採用もバンバンやってましたので、年がら年中採用の仕事に明け暮れており、応募者とのコンタクトと面接のセッティングと実施、合否判定の流れがそのまま日々の生活と化しておりました。

そんな中で得た教訓は、「採用試験や面接ではその人の本質はわからない」という宇宙の法則のような理屈です。わからないのです。とにかく。いろいろな筆記試験をやり、実技テストもやり面接も何度もやり、やっぱりわからない。その人の運命を左右するかもしれない、いやきっと左右するであろう決断をするのはいささか精神衛生上よろしくないのだが、その時は「よしっこれならいける。」と自信を持って決断し、上司に「この人なら大丈夫です。」と進言し、電話でフォローし、一緒に食事もし、自社の車にも乗せ、あらゆる手段を講じてようやく入社させた学生が1ヶ月で辞めた時など、思わず天を仰いでキリスト教徒でもないのに「神よ!」とつぶやいたものです。

その時得た教訓は、「採用面接や試験ではその人の本質はわからない」ということだったのですが、実はわかるような選考をしていなかったということが後で判明いたします。それは何かというと「企業の価値は人が造る」という考え方で採用していなかったということです。応募者が何を求めてくるのかというニーズをまったく掴んでいなかったということです。

単にどこでも使われているペーパーテストでは自社に必要な人材はわかりません。単に「学生の時何やってましたか?当社への志望動機は?」なんていうありきたりの質問では応募者の真のニーズは見抜けません。


3.自社の「良い会社」の定義をしよう
「良い会社とは何か?」本当に皆さんが良い人材を採用したいとお考えであれば、まずこの質問をご自身にしてみることです。そしてそれが自信を持って「うちは良い会社だ」と思えることをまず、その理由と意図を相手にわかりやすく伝えていくことです。その話に目をランランと輝かせ、深くうなづきながら聞いてくれる人がいたら、おそらくその人があなたの会社にとって本当に必要な、「良い人材」となる、いわゆる磨けば光る原石です。

どんなにペーパーテストでデキがよくても面接で流暢に会話ができても、あなたの「良い会社=価値観」とその人の価値観がずれていれば、おそらくあなたも天を仰いで「神よ!」つぶやくことになることは保証します。
この「人を育てる。活かす」シリーズではそんな採用の難しさと採用してからの育成についてシリーズでお話をしてまいります。
清水 薫(ビードライブ株式会社 代表)