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   【人を活かす人事・労務】

Vol.12
『育児・介護休業制度と正しい運用法』

 

 

 
【育児・介護休業制度概要と現状】
 

 平成4年4月に施行された育児休業等に関する法律は、平成11年4月に法改正が行われて、育児・介護休業法(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)に改められスタートしました。
 この改正により、従来の育児休業制度とあわせて介護休業制度についても、全事業所を対象として義務付けされました。
 その後、少子高齢化が進展していく中で、働く環境も大きく変化してきており、育児・介護を行う労働者の仕事と家庭の両立をより促進させるために、改正された育児・介護休業法が平成17年4月1日から施行されて今日に至っています。
 また、同時に、次世代育成支援対策推進法が全面施行されました。これは、少子化の原因の一つとして、仕事と子育ての両立の負担感の増大があげられているところから、社会全体で子育て支援を推進していこうとするものです。
 各企業においても、仕事と子育ての両立が可能となるような労働環境を整えていく取組みが求められています。また、国・行政においても育児と介護支援制度の充実に向けて様々な取組みが進められてきています。
 さらに、少子化対策の観点から、仕事と子育ての両立支援等を一層進めるため、男女ともに子育て等をしながら働き続けることができる雇用環境を整備するとして、本年6月の国会で改正育児・介護休業法が成立し、平成22年6月までに施行されることになっております。
 育児のための短時間勤務制度の導入状況は、厚生労働省が平成20年5月発表(平成19年11〜12月)によると、下記表の通り企業規模が1000人以上では86.5%にのぼるに対して、規模10〜29人では42.3%にとどまっています。

【育児のための短時間勤務制度の導入状況】
   
   育児のための短時間勤務制度を導入していない企業は全体の38.8%、規模10〜29人では57.3%になります。未導入の理由は、「育児中の人等、制度の対象となる従業員が少ない」(58.8%)、「短時間勤務になじまない業務が多い」(28.4%)、「制度の対象となる従業員はいるが、短時間勤務のニーズがない」(20.9%)が上位3位となっています。
 しかし、「育児中の人等、制度の対象となる従業員が少ない」、「制度の対象となる従業員はいるが、短時間勤務のニーズがない」と回答した企業に勤務する従業員の4割程度は、短時間勤務制度を利用したいと答えています。

企業の未導入理由と従業員の利用意向】
   ご承知の通り育児・介護休業等については、各企業で定めている就業規則に必ず記載しなければならない事項(休暇)となっていますが、中小企業における運用実態は厳しいものがあります。
 育児・介護休業法とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のことをいいます。つまりこの法律は、育児や家族の介護を行う労働者の職業生活と家庭生活の両立を支援することを目的としたものですから、名目だけで終わらせるのではなく、利用が広がってこそ意味があることなのです。
   
育児・介護休業制度の理解
1 育児休業とは
   子(法律上の親子関係があれば実子、養子を問いません。)を養育する男女労働者(日々雇用者を除く)は、事業主に申し出ることによって、子が1歳(一定の条件を満たす場合は1歳6か月)に達するまでの連続した期間を、子1人につき原則1回育児休業することができます。
 期間を定めて雇用される者は、同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている者で、子が2歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者が対象となります。
 ただし、労使協定を締結することにより、勤続1年未満の者、1週間の所定労働日数が2日以下の者、配偶者等が常態として子を養育できる者などは育児休業の対象外とすることができます。
 なお、一定の条件を満たす場合とは、保育所に入所を希望しているが入所できないでいる場合とか、子の養育を行っていた配偶者が死亡、負傷、疾病等、離婚等により子を養育することができなくなった場合です。
   
2 介護休業とは
   介護休業とは、負傷、疾病又は身体上、精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するための休業をいいます。介護休業は、労働者が事業主に休業の期間を明らかにして申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき常時介護を必要とする状態ごとに1回、通算して93日までの介護休業をすることができます。
 介護休業をできる労働者は、要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者(日々雇用者を除く)及び期間を定めて雇用される者で、同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている者で介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き1年以上雇用されることが見込まれる者が対象となります。
 ただし、労使協定を締結することにより、勤続1年未満の者、1週間の所定労働日数が2日以下の者、介護休業申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな者は介護休業の対象外とすることができます。
 介護休業の対象となる家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母であり、加えて同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれます。
   
3 育児・介護休業中の賃金は
   育児・介護休業法では、休業中の賃金についての直接の保障はありません。賃金も含め休業中の労働条件は、労使が話し合って決めることになります。通常、休業している間の賃金は無給としている企業が多く、生活費補填として、一定の要件を満たした被保険者には雇用保険からそれぞれ給付金が支給されます。
 育児休業の場合には育児休業基本給付金と育児休業者職場復帰給付金を合わせて賃金の40%(平成22年3月31日までに育児休業を開始された方は50%)が、育児休業開始日から終了した日まで(子が1歳以降も休業する場合は、原則として子の1歳の誕生日の前々日まで)、育児休業給付金として支給されます。また、介護休業の場合には介護休業給付金として賃金の40%が最長3か月間支給されます。
   
4 休業中の社会、労働保険の取扱いは
  育児休業中もしくは介護休業中とも社会保険、労働保険の資格は継続します。
育児休業を取得する者の健康保険・厚生年金保険料は、事業主が保険者(所属する健康保険組合又は最寄りの社会保険事務所)に申し出た場合、労働者負担分及び事業主負担分がともに免除されます。(子が3歳に達するまでのうち休業している期間)労災保険・雇用保険の保険料は、賃金に保険料率を乗じた額が保険料となるため休業中無給の場合は、保険料は発生しません。
介護休業を取得する者の健康保険・厚生年金保険料については、労働者及び事業主負担の免除規定はありません。
労災保険・雇用保険の保険料については、育児休業と同様、休業中無給の場合は、保険料は発生しません。
   
5 子の看護休暇とは
   子の看護休暇とは、負傷し又は疾病にかかった子の看護を行う労働者に対し与えられる休暇で、労働者が事業主に申し出ることにより、1年度において5日を限度に取得することができます。子の看護休暇を取得できる労働者は、小学校就学前の子を養育する男女労働者(日々雇用者を除く)です。
 また、期間を定めて雇用される者や配偶者が専業主婦である労働者等も対象となりますが、継続して雇用された期間が6か月に満たない者及び1週間の所定労働日数が2日以下の者は、労使協定により対象外とすることができます。
 なお、この休暇は、労働基準法の規定による年次有給休暇とは別のものとして与えることが必要です。
   
6 育児・介護休業の申出を拒むことはできない
   事業主は、要件を満たした労働者からの育児休業又は介護休業の申出を拒むことはできません。たとえ、事業主の承認がなくても休業することができます。
 また、労働者が育児休業又は介護休業や子の看護休暇の申出をしたこと又は取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されております。
 なお、「解雇その他不利益な取扱い」とは、次のようなことです。
  解雇すること
  期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと
  あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること
  退職又は正社員を非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
  自宅待機を命ずること
  降格させること
  減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと
  不利益な配置の変更を行うこと
  就業環境を害すること
 

7 時間外労働の制限及び深夜業の制限

 事業主は、育児や家族の介護を行う労働者が請求した場合には、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働又は深夜労働(午後10時から午前5時まで)をさせてはならないと育児・介護休業法で定めております。
 時間外労働及び深夜業の制限を請求することができる労働者は、小学校就学前の子を養育し、又は要介護状態にある対象家族を介護する労働者(日々雇用される者を除く)です。ただし、勤続1年未満の場合など、法令に定める一定の要件に該当する者は請求できません。
 請求は、1回につき、1か月以上1年以内(深夜業の場合は、1か月以上6か月以内)の期間について、その開始の日及び終了の日を明らかにして制限開始予定日の1か月前までに事業主に申し出ることが必要です。

 

8 勤務時間の短縮等の措置

 育児・介護休業法では、働きながら育児や家族の介護を容易にするため、事業主は、3歳未満の子を養育し、又は要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者に対して、勤務時間の短縮等の措置を講じなければならないと定めています。
 また、事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育し、又は家族を介護する労働者に対して、育児・介護休業の制度又は勤務時間の短縮等の措置に準じた措置を講ずるよう努力義務が求められております。

 

9 改正育児・介護休業法の主な改正点(平成22年6月までに施行される予定)

  3歳未満の子を養育する労働者について、短時間勤務制度(1日6時間)を設けることを事業主に義務付けたこと。
  共働きの父母がともに育児休業を取得する場合、1歳2か月(現行1歳)までの間に、それぞれ最長1年間育児休業を取得可能としたこと。
  配偶者が専業主婦であれば、労使協定で育児休業の取得不可とすることができる制度を廃止したこと。
  出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、再度、育児休業を取得可能としたこと。
  子の看護休暇制度を拡充したこと。小学校就学前の子が、1人であれば年5日(現行どうり)、2人以上であれば年10日としたこと。
  介護のための短期の休暇制度を創設したこと。要介護状態の対象家族が、1人であれば年5日、2人以上であれば年10日。
 などです。

(育児・介護休業制度の詳細については、都道府県労働局雇用均等室へ)

 



かのう社会保険労務士事務所 所長
社会保険労務士 狩野 一雄