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トヨタに続くホンダの本格参入で対応迫られるハイブリッド車のメンテナンス

■本格化するハイブリッド車販売


 ホンダが今秋フルモデルチェンジする新型シビックに新開発で高性能のハイブリッドカーを登場させ、ハイブリッド自動車で先行するトヨタを本格的に追撃する態勢に入った。

 新ハイブリッドシステムはホンダ・エンジンの代名詞ともいうべきi−VTEC(可変バルブタイミング・リフト機構)をベースに、低回転・高回転・気筒休止の3段階(ステージ)の走行状態に合わせながらバルブを制御してレスポンスのいい走りと低燃費を両立、これに小型高効率化したIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)を組み合わせた「3ステージi−VTEC+IMA」と呼ばれるものだ。

 総排気量は1.4リッターだが、現行のシビックハイブリッドよりもシステム出力を約20%高めて1.8リッタークラスと同じ走りを実現しながら、燃費は5%以上良くなるという。

 政府は2015年までに国内で年間100万台のハイブリッド車の普及を目標に掲げている。トヨタはこれに呼応するかのように、「2010年までのできるだけ早い段階で年間30万台の販売を目指す」ことをすでに表明している。

 トヨタのハイブリッド乗用車は1997年12月の初代プリウスを皮切りにエスティマ(01年6月発売)、クラウン(ロイヤル01年8月、セダン02年10月)、アルファード(03年7月)と続き、今年5月にはハリアーとクルーガーにも搭載拡大させている。97年ではわずか332台だったハイブリッド車(97年8月発売のコースターを含む)は2003年に5万3293台、昨年は前年に比べ2倍以上の13万4687台(03年11月発売のダイナ/トヨエースとプリウスの海外販売分6万5975台分を含む)へと急拡大していることはご承知のとおりだ。。

 この増勢基調にホンダ勢が加わる。ホンダのハイブリッド乗用車は現在、北米でのアコードに加え、国内ではインサイドと現行シビックの2車種のみで、これまではどちらかといえば、「ハイブリッド車もありますよ」という扱いでしかなかった。クリーンエネルギー車の投入を急ぐトヨタに対してホンダは、「内燃機関の改善なくして真の環境対策はあり得ない」(福井威夫社長)ことを基本ポリシーとしてきたからだ。

 しかし、米国アカデミー賞の授賞式にハリウッドのスター達がハイブリッド車で乗りつける光景で象徴されるごとく、海外でのブーム拡大や原油高によるガソリン代の高騰を背景として、環境に優しく燃費の良いハイブリッド車の需要が一気に押し上がってくる気運にある。このためホンダもハイブリッド車の販売に本腰を入れ始めたというわけだ。
 

■心配されるメンテナンス技術格差


 トヨタに続きホンダが、全世界で年に60万台も販売する看板車種のシビックに新開発のハイブリッドシステムを投入するということは、いよいよ国内においても本格的なハイブリッド車時代の到来を意味する。そこでユーザーサイドからの関心がにわかに高まっているのが、ハイブリッド車のメンテナンスはどうなっているのかということである。個々の整備サービス工場においても、ハイブリッド車のメンテナンスができることをユーザーにどうアピールしていくかが問われてくる。

 ハイブリッド車のメンテナンスといっても実際には、例えば車検整備時でみると、従来のガソリン車の点検内容とほとんど変わらない。ハイブリッド車がガソリン・エンジンとモーターの組み合わせでできているからで、違ってくるのは特別保証部品にハイブリッド機構が加わっている程度だ。トヨタのハイブリッド系のメンテナンスノートでいえば、ハイブリッドトランスアクスル、スタータージェネレーター、メインバッテリー(駆動用電池)、インバーター、DC−DCコンバーター、ハイブリッドコントロールコンピューター、バッテリーコンピューター、冷却装置などがハイブリッド機構となっている。

 この部分とそれ以外のモーター系部品の不具合は、TS−CANと呼ばれるハイブリッド車の診断装置で判定できる。TS−CANはハイブリッドのみならず内燃機関の診断装置にもなっているが、クルマ側に4ケタの番号で記号化されているCAN通信のフォーマットさえあれば、ハイブリッド機構のどの部分がどういう異常をきたしているかがすぐに分かり、正常に機能するよう制御できる。

 この装置はデンソー製で、クルマ側の対応も数年前の生産車から対策済みという。同装置は全国のトヨタ系ディーラー294社、約5000店舗のほとんどにすでに設置されている。ホンダの場合も同じような装置が各拠点に導入されていて、装置とクルマを配線すれば不具合箇所が瞬時に見つけられるようになっているという。


■本腰を入れて技術者の養成が必要


 問題はハイブリッド車のメンテナンスに携わるメカニックの資格要件だ。ハイブリッド車をリペアするには現在、電気工事関係の技術者に求められる「低電圧取扱い業務」の資格が要る。

 低電圧取扱い業務は安全衛生法(安衛法)に基づくもので、その従事者は労働基準監督署(労基署)の管轄下に入る。しかし実際には、整備サービス工場の場合、全国53ヶ所の各県自動車整備振興会で催される安衛法上の特別教育に基づく低電圧取扱い業務についての講習を7〜8時間受ければよいことになっており、整備サービス工場にとってそれほど厄介な問題ではない。

 しかも整備サービス工場で働くメカニック全員がこの講習を受ける必要は無く、誰か一人が講習に参加し、その受講内容を持ち帰って他のメカニックに伝えさえすれば、他のメカニックもハイブリッド車のメンテナンスに従事することが可能というゆるやかな規定である。

 ただし、何かアクシデントがあった時には、安衛法・労基署の監督下にあるだけに、低電圧取扱い業務者及び経営者の管理・監督責任が問われることになっている。

 初代プリウスが発売されてすでに8年近くになる。03年には性能もガソリン車並みとなった2代目プリウスが投入され、来年は初回から4回目となるハイブリッド車の車検需要が多く発生してくる。トヨタから基本特許を提供された日産も本格的なハイブリッド乗用車の発売に踏み切るのは時間の問題だ。

 そうした市場環境になったときに、「ウチの工場ではハイブリッド車のメンテナンスはできません」では通らない。ユーザーに与える安心感のイメージやセールス・トークという観点からも、低電圧取扱い業務の受講は営業戦略上の考え所となってきそうである。





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