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第10回 ISO9001(その6) - 「お客様との関係性」
今回からは、ISO9001規格の「第7章:製品実現」の規定について解説してゆきます。ここは要求事項として謳われている内容が最も多いところであり、皆さんの会社の販売活動、工場業務、購買業務、その他のサービス提供など、それぞれの実務と直接係わってきます。
まずは、特に顧客とのやり取りの多い営業業務と密接にかかわってくる「顧客関連のプロセス」を中心に解説をします。
製品・サービスに関する要求事項の明確化
皆さんの会社の製品・サービスについて、次のようなことを明確にするように規格は要求しています。
仝楜劼提示した要求:
提供する製品やサービスについて
の仕様や内容、納期、価格などです。さらに引渡しの方法
や使用方法の説明などもあれば、必要な点を明確にしなけ
ればなりません。
顧客の暗黙のニーズや期待:
顧客があえて口に出して
要求しないが、自社の義務として当然すべきこと、さらに
顧客の期待している点などにも配慮する必要あります。
製品・サービスに関連する法令・規制の要求:
自社の製品やサービスが準拠しなければい
けない法律、地方条例、さらには業界規則などがあれば、どんなことかを明確にしなければ
なりません。
ち反イ必要と判断する要求:
自社が自ら必要と感じている製品・サービスの品質水準やコ
スト水準などが相当します。
製品・サービスに関連する要求事項のレビュー
つぎには、上記のように明確にされた要求事項の内容が適切であるかを確認(レビュー)しなければなりません。大事なことは、顧客の要求については、契約の取り交わしや注文の受諾をする前に、適切かを確認して記録に残さなければなりません。
例えば、顧客からの引合いや注文を受けた際には、見積書を作成する、あるいは内容の詳細を注文受付票などに記入するとします。そのような時点において、次のような観点からしかるべき人がチェックするようにしましょう。
・ 引合い・注文・契約の内容で、間違えや必要な項目の漏れがないか?
・ 引合い・注文・契約の要求を、自社がきちんと果たすことができるかどうか?
また注意をしなければならないのは、契約や注文の内容が以前のものから変更される場合です。このような時は顧客と打ち合わせをして合意されているかの確認も必要です。また変更された内容を、社内の関係する人に伝達しなければなりません。この様な際には、関係する文書の変更手続きも含めて、管理が確実になされるようにしましょう。
また会社によっては、不特定の顧客にカタログやホームページを使った販売を行っている場合もありますね。この場合も、それらが顧客の手に届く(あるいは目に触れる)前に、内容に不備がないかを社内で確認する手続きが必要です。
規格がこの様な要求をしている理由は、いったん顧客と約束を取り交わして、その後に、やってみたら不可能だったと判明して、顧客に迷惑をかけ信用を低下することがないようにするためです。
特に、契約や注文の内容が変更された場合に、適切な管理がされていないと、無駄な作業やロスが発生してしまうことにもなってしまいます。
顧客とのコミュニケーション
規格では、製品・サービスの情報、引合い・契約・注文、そして苦情を含む顧客からのフィードバックに関して、顧客と効果的にコミュニケーションをとるように要求しています。つまり、営業活動を適切にシステム化することが大事です。
効果的なコミュニケーションの方法は、それぞれの組織で考える必要があります。主要顧客ごとに窓口担当者を任命して、顧客からの要望や今後の引き合い情報を、集約している会社もよくあります。また顧客情報を登録して分析するシステムを作っている会社も、小売業やサービス業では多くなってきています。
顧客満足
ISO9001規格では、組織の経営活動の成果の一つとして、顧客満足に関する情報を把握することを要求しています。これは規格の第8章の中に出てきますが、顧客に関連する最も重要な活動のため、この場でとりあげます。
顧客の満足度についての調査する方法もいくつかあります。大きな会社では、外部の専門機関に調査依頼をしているところもあります。もっとも多いのは、アンケートを用いたものや、直接対話を通しての情報収集などで、この様な積極的な調査方法をとることが望ましいといえます。
どの会社でも、少なくとも顧客クレームに関する情報だけは把握しておきましょう。また間接的に顧客満足度を測る方法として、リピート注文数、保証件数、納期遵守率や修理時間などの情報を分析することもできます。
ISO9001が要求しているのは、顧客満足度の絶対的なレベルではなく、あくまで顧客満足に関する情報を入手する方法と、その情報を利用する方法を決めることです。顧客満足に関する情報は、ISO9001(その3)「経営者の責任」で述べた“マネジメントレビュー”の場で議論することにより、会社全体としての対応策を決める必要があります。
以上の関連について、下記のとおり図1に表しておきます。
図1 顧客関連業務の流れ
アイエル経営診断事務所 代表
板 賀 伸 行
経営コンサルタント(中小企業診断士)
ISO/QMS 主任審査員
過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!
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