ISO9001で規定している改善には「是正処置」と「予防処置」2つの種類があり、それぞれに対して“文書化された手順”を確立することが要求されています。
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是正処置とは、問題(不適合)が発生した場合に、再発防止を目的として、その根本原因を除去するための処置です。例えば皆さんの会社で、顧客苦情を受けた、重大な製品不具合が発生した場合などに適用しなければなりません。規格で要求されている是正処置の流れは次の様になります。
a)不適合(顧客苦情を含む)の内容確認
b)不適合の原因の特定
c)不適合の再発防止を確実にするための処置の必要性の評価
d)必要な処置の決定と実施
e)とった処理の結果の記録
f)是正処置において実施した活動のレビュー
もちろん一番肝心なのは、d)における処置がその問題の再発防止になっているかどうかです。しかしマネジメントの観点からは、e)にあるように処置の「記録」を残すことや、f)にあるように振り返って再発がないかを後で確認して効果まで判断することが必要です。
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予防処置とは、起こり得る問題(不適合)が発生することを防止するために、その原因を除去するための処置です。是正処置は問題が起こった後のものですが、予防処置は問題を未然に防ぐ活動のため、その意義はさらに高いといえます。規格で要求されている予防処置のステップは次の様になります。
a)起こり得る不適合とその原因の特定
b)不適合の発生を確実にするための処置の必要性の評価
c)必要な処置の決定と実施
d)とった処理の結果の記録
e)予防処置において実施した活動のレビュー
是正処置のステップと比べるとa)の出発点が異なりますが、あとの流れはほぼ同じです。予防処置を行うためには、このa)の段階で起こり得る不適合を特定する必要がありますが、これは多くの場合、先に述べた「データの分析」を十分することで発見することができます。
是正と予防のどちらにも大事なことは、根本原因を見つけて手をうつということです。例えば、ある作業ミスが発生したときに、原因を単に“注意を怠った”とするのではなく、注意を怠る状況を生じた原因までさかのぼって対処する、または注意を怠っても問題が発生しない対策をするなどの処置までが必要です。
「なぜなぜを5回繰り返す」という言葉がありますが、問題の真因をつきとめるためにそこまで掘り下げた考え方をしないと、有効な対策にはならないということです。 |