では、ISO14001とこれまでの「シリーズISO」でずっと取り上げてきたISO9001を比較してみて、共通点や相違点を見てみましょう。
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共通点としては次のような共通の特徴があります。 |
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・方針、目標を設定して達成のための活動をする |
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・人の教育訓練を行う |
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・必要な文書や記録を作成して管理する |
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・発生した問題の再発防止や予防を行う |
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・得られた成果や規定の順守状況の評価を行い、自主的にシステムを向上させる |
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・定期的に経営者がシステムを見直すなど経営層が積極的に参加する |
このような共通点を一言でいえば、どちらも「全員参加とPDCAを基本としたマネジメントシステム」とであると いうことです。したがって、すでにISO9001のシステムが存在する組織においては、ISO14001の取り組みはとても馴染みやすいといえるでしょう。
一方で相違点としては、ISO9001は製品やサービスの品質、ISO14001は地球環境に焦点をあてている違いはありますが、その他にもどのような性質の相違があるでしょうか。もっとも大きな相違は、その組織に関心をもつ人たち(利害関係者)の範囲にあります。図1-2に示すように、ISO9001は主にその組織から製品やサービスを購入する「顧客」に目を向け、その顧客のニーズを満たすためのシステムといえます。
しかしISO14001は、顧客を含めた広範囲の利害関係者に目を向け、それらの人たちの声に耳を傾けることで、信頼と安心感を与えるためのシステムといえるでしょう。具体的に組織に関心を持つ利害関係者とは、顧客以外にも、周辺住民、行政機関、業界団体、株主・金融機関、従業員、供給者などがあります。
その他にも、規格の内容を見てみると、ISO14001はISO9001にない点として次の様な要求をしています。これらについては、この後の解説で順次取り上げてゆきます。
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・組織が環境に及ぼす影響(負荷)を評価して、その元となる活動を把握する |
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・関連する環境法規制を調査して順守する |
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・環境活動計画(マネジメントプログラム)を策定して環境目標を達成する |
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・起こり得る緊急事態を想定して、予防や対処に備える |
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