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ISO14001:その4「実施体制と環境教育」
 

 これからは環境マネジメントシステムを実際に運用する段階で必要になる組織の体制や人々の力量などについて説明します。 今回取り上げる話題は、ISO14001規格では「4.4.1資源、役割、責任及び権限」、「4.4.2力量、教育訓練及び自覚」、ならびに「4.4.3コミュニケーション」に該当します。 さらに「4.4.4文書類」と「4.4.5文書管理」についても触れます。


 

実施体制
 まず経営トップは、環境マネジメントを統括する管理責任者を任命しなければなりません。 この管理責任者は、環境目標に対する成果を評価してトップに報告することを含め、自社の環境マネジメントシステムの維持・改善に全面的な責任を持つ人です。 
中小企業でISO9001を導入したところでは、品質マネジネントの管理責任者と兼ねる場合も多くあります。 小規模組織であれば経営トップが自ら管理責任者になることも現実的です。
 その他にも必要に応じて、管理責任者のもとで各種の環境活動を実施したり監視するメンバーを起用するといいでしょう。 これらの人たちで、環境管理委員会などの名称で実施体制をつくり、実施計画に基づいた活動の推進や、発生する問題の改善に取り組んでゆきましょう。

環境教育
 ISO14001規格では、環境影響の原因となる業務を実施するすべての人たちが、適切な教育・訓練や経験に基づく力量をもつことを求めています。 しっかりとした人材育成を行っている組織では、すでに多くの教育訓練プログラムが提供されているかも知れませんが、環境意識を向上させる教育や、業務上順守すべき手順の訓練などを加えるようにしましょう。 
 規格では特に、次の事項を自覚させるための教育訓練を要求しています。
  ・ 環境方針や環境マネジネントの重要性
  ・ 自分の仕事が及ぼしている環境への影響とそれを改善することによる利点
  ・ 自分の組織の環境マメジメントの体制と役割分担
  ・ 規定させている手順を守らなかった場合に起こりえる結果

環境コミュニケーション
 ISO9001でも求められていますがISO14001でも全く同様に、組織の種種の階層や部門間での内部コミュニケーションを行うことは必須事項です。 定期的に環境管理委員会などを開いて、実施状況を確認したり問題の改善策を話し合うことが望ましいでしょう。 

 さらにISO4001では外部とのコミュニケーションについて規定しています。 もしも地域住民などの利害関係者から苦情、問い合わせなどがあった場合、それらを記録してどこに伝達するか、そして誰がどのように対処するかをあらかじめ決めておきましょう。 

文書類と文書管理
 ISO14001で要求している文書の種類はISO9001と類似しています。それには、環境方針・目標をはじめ、著しい環境側面の管理し、組織の環境システムを確実に運用するたに必要な手順書や記録が含まれます。
 もし皆さんの組織がISO9001を構築して運用している場合は、品質マネジメントの文書と共用化するなど効率的な利用をすることができますので、この点はぜひ専門家に相談するなどしてみてください。

 また制定や改定のなど際の文書管理に要求されることはISO9001とほとんど共通です。 よって、これについては、ISO9001シリーズの第6回「紙にも重みがあります」を参照して下さい。

 
  国際マネジネント診断協会・アイエル経営診断事務所  
  代表  板 賀 伸 行
 経営コンサルタント(中小企業診断士)
 ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!

 

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