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ISO14001:その5「運用管理と緊急事態の対応」
 

 引き続き、環境マネジメントシステムを実際に運用する際の要点について説明します。 今回取り上げる話題は、ISO14001規格では「4.4.6運用管理」、ならびに「4.4.7緊急事態への準備及び対応」に該当します。 


 

運用管理
 これまでの活動では、組織の事業活動に伴う環境影響と環境側面を明らかにし、環境方針・目標、さらに実施計画を作成してきました。 環境方針や目標を達成するためにも、事業活動と関連する環境側面はきちんと管理しなければなりません。 そのためには、ぜひ手順書を作成して確実に守るようにしてください。
 どのような種類の手順書を作成するかは、それぞれの組織の環境側面によって異なりますが、例をあげると以下のようなものがあります。
  ・ エネルギー(電力、ガス、石油燃料、水道など)の使用と削減に関する手順
  ・ 廃棄物の適正処理と減量化に関する手順
  ・ 化学物質の使用と削減に関する手順
  ・ 騒音の発生と抑制に関する手順
  ・ 環境配慮型の製品設計に関する手順
  ・ 環境配慮型の物品調達に関する手順

 特に、エネルギーの使用と廃棄物の処理に関しては、ほとんどの組織で管理すべき環境側面として取り上げられるはずですので、ぜひ手順を作成しておきたいものです。 手順の中では、担当責任者や実際の監視・測定の方法などを具体的に記すようにしましょう。 作成した手順は組織の人々に伝達し理解されるように、教育の機会を設けるといいでしょう。
 エネルギーの削減や廃棄物の抑制などは、人々の心構えだけでもある程度の効果を期待できますが、抜本的に効果を上げるには科学的なアプローチも必要になります。 この点は他の実施事例を参考にしたり専門家に相談するようにしてください。

 さらに大事なことは、これらの管理手順を外部の関連する人々にも伝達することです。 それにより、環境マネジメントの活動の範囲を広め、社会全体での環境負荷低減につなげてゆきたいものです。
 供給者(仕入先、外注先)には品質の要求と同様に、環境に関する要求事項も確実に伝達するようにしましょう。 該当する場合は、会社の中で作業をしている外注業者や派遣労働者にも手順を伝達し、順守してもらうことは当然必要です。

緊急事態への準備と対応
 組織の活動には、不慮の事故などの避けがたい潜在的なリスクが伴っているため、これらの発生を未然に防ぐ対策の準備が必要です。 万が一にも発生した場合には、それによる影響を最小限にくい止めなければなりません。 ISO14001では、環境に影響を与える緊急事態を想定して、有害な影響を予防・緩和する手順を確立することを求めています。

 想定される緊急事態にどのようなものがあるかは、組織の活動によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
  ・ 火災の発生 (ほとんどの組織であり得る)
  ・ 液状物質や有害ガスの漏洩

 ここで大事なことは、これらの緊急事態への準備や対応の手順を作成しておくだけでなく、模擬的な訓練を行うことによって、そのような手順を定期的にテストすることです。
 火災が起きた際には、大気の汚染や近隣住民への環境的な影響だけでなく、人身障害の可能性を含め組織にとって大きな痛手になりますので、日頃からの消防・非難訓練は重要です。

 緊急事態へ準備・対応を含め環境マネジメントの運営管理に関する活動は、自然環境への負荷低減だけではなく、多くの場合、組織の人々の労働環境や安全衛生面の管理と密接にかかわっていることも、おわかりになったことでしょう。

 
  国際マネジネント診断協会・アイエル経営診断事務所  
  代表  板 賀 伸 行
 経営コンサルタント(中小企業診断士)
 ISO/QMS 主任審査員

過去に大手自動車会社において海外各国の自動車開発・生産プロジェクトを担当。その後、コンサルティング会社等を経てアイエル経営診断事務所を設立、中小企業の経営支援を開始。国や地域の中小企業支援センターのアドバイザーも務める。
経営資源の少ない小規模事業者のビジョン実現をサポートできる今の仕事に生き甲斐を感じています!
趣味はアウトドア系なら何でも関心があり、毎年新しいチャレンジ(冒険?)をしています!

 

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