監視・測定と順守評価
事業活動に伴って管理すべき環境特性は、監視または測定しなければなりません。 例えば、環境目標にエネルギー削減と廃棄物削減を掲げ、そのための手順を設けて管理している場合は、電力や燃料の使用量および廃棄物の発生量を定期的に監視・測定します。
また法的な要求を含め組織が順守すべきことに対しては、それらがきちんと守られているかを評価しなければなりません。
不適合と是正処置・予防処置
監視・測定や順守評価において問題点(不適合)が発見された場合は、是正処置または予防処置を執る必要があります。 是正処置と予防処置のそれぞれの意味については、ISO9001シリーズの第16回「カイゼンは日本の文化」で述べていますので、もう一度確認して下さい。
不適合については以下の要領で処理することが規格では定められています。
a) 不適合を特定し、修正し、それらの環境影響を緩和するための処置をとる
b) 不適合を調査し、原因を特定し、再発を防ぐための処置をとる
c) 不適合を予防するための処置の必要性を評価し、発生を防ぐための適切な処置をする
d) とられた是正処置と予防処置の結果を記録する
e) とられた是正処置と予防処置の有効性をレビューする
記録の管理
記録は環境マネジメントシステムの運用の結果を示すものであり、規格への適合性を証明するためにも必要です。 記録の管理について必要なことはISO9001と共通のため、これもISO9001シリーズの第6回「紙にも重みがあります」を参照して下さい。
内部監査
内部監査についても、ISO9001シリーズの第15回「内部監査をしてみて発見」にて解説しましたので、そちらを参照して下さい。 内部監査の手順として説明している ヾ萄困侶弉茵 檗´監査の実施 − 4萄困侶覯未肇侫ロー に至るプロセスは、品質マネジメントも環境マネジメントも共通ですので、良く理解しておくようにしてください。
内部監査の手順が共通しているということは、組織がすでにISO9001の品質マネジメントを取り入れている場合は、内部監査は環境マネジメント統合して実施することが効率的です。 もちろんそのためには、内部監査員は品質・環境の両面を監査できるだけの力量を持っていなければなりません。
環境マネジメントシステムの内部監査の特有のものとしては、前述の「監視・測定と順守評価」がしっかりなされているかをチェックする点があげられます。 内部監査は環境マネジメントシステムの点検をする重要な機会ですので、「順守評価」自体を、内部監査を通して行うことも現実的です。
マネジメントレビュー
マネジメントレビューも品質マネジメントで行うものと目的が共通であるため、これはISO9001シリーズの第7回「経営者が果たすべき責任とは」の中の解説を参照して下さい。 特に経営者が関与して行うことの意義を再確認しましょう。 内部監査と同様に、品質マネジメントを取り入れている組織は、マネジメントレビューも品質と環境を統合して行うことが効率的です。
規格では、次の事項を含めて環境マネジメントシステムのマネジメントレビューを行うことを要求しています。
a) 内部監査の結果、法的要求事項と組織が同意するその他の要求事項に対する順守評価の結果
b) 苦情を含む外部の利害関係者からのコミュニケーション
c) 組織の環境パフォーマンス
d) 目的と目標が達成されている程度
e) 是正処置と予防処置の状況
f) 前回までのマネジメントレビューの結果に対するフォローアップ
g) 環境側面に関係した法的とその他の要求事項の進展や変化している周囲の状況
h) 改善のための提案
マネジネントレビューにおいて経営者は、これらの情報をもとに環境方針・目標の変更の必要性を含め、環境マネジメントシステムの変更と改善に対するあらゆる決定を下すことが必要です。
|