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  ● 経営管理講座 : 新・中販店経営講座
慢性的な良質の玉不足、新車ディーラーの加速度的な中古車ビジネスの拡大、消費税の税率アップの不安など中古車専業店の経営は厳しさを増すばかりです。そうした中で、勝ち組になるための新しい経営の「視点」や「仕組み作り」をご提案いたします。

 □第1回講座
  売れない時代の集客力
   強化策


 □第2回講座
  品揃えはお客様に聞け

 □第3回講座
  なぜ売れないのか

 □第4回講座
   回転率こそ中古車
   経営の命


 □第5回講座
   単品管理こそ長在車
   対策の秘訣


 □第6回講座
   女性客をつかまえろ(1)

 □第7回講座
   女性客をつかまえろ(2)

 □第8回講座
   農耕型中販店へ
   発想転換しよう


 □第9回講座
   買取りで仕入れ力を
   高める(1)

 □第10回講座
   買取りで仕入れ力を
   高める(2)

 □第11回講座
  求められる「売り込む」
  から「買ってください」へ
  の発想転換





 
  

 今回は数字から見た回転利率の重要性について述べたい。
 ここに2つの中販店がある。
 展示台数はそれぞれ60台(A社)と40台(B社)で扱い車種はほぼ同じ。ただし、A社の販売台数は月平均20台、台当たり粗利益は23万円。B社は販売台数24台だが粗利益は12万円と低い。なお在庫単価は台当たり100万円と同じ。
 では、この両社のどちらが経営として優れているだろうか。


最重要の指標は在庫資金に対する粗利益率
 商売は結局のところ、投下資本(元入れ金)に対してどれほど利益を上げたかにつきる。最強の経営指標は総資本対経常利益率(経常利益÷総資本)である。販売の現場では、総資本といってもぴんと来ないので在庫資産に、また経常利益ではなく粗利益(売上総利益)に置き換えると、在庫資金に対する粗利益率が経営の優劣をあらわすことになる。
 在庫資産に対する粗利益率は、売上高対粗利益率と在庫回転率を掛けたもので算出されるので、これにそって実際に比較してみることにしよう。

 前式より。
 売上高対粗利益率が意味するのは儲け方が上手かどうかである。安く仕入れて高く売る。そうした商売がうまいかどうかだ。そうすると、B社に比べてA社のほうが断然と儲けかたがうまいといえる。
 一方、在庫回転率はお金の使い方が上手いかどうかを判断するもの。在庫が回転しないということは、それだけお金が眠っているということになるのだから、利益が出ていても「資金繰りで破綻」する。つまり黒字倒産の恐れがある。
 経営力があるとは、「儲け方」と「お金の使い方」の両方に優れていることに他ならない。
つまり、売上高対粗利益率と在庫回転率を掛けた数字(在庫高対粗利益率)が最強の指標といえるわけだ。
 こうしたことから、台当たり粗利益が低いが回転率が良いB社のほうが経営力があると判断できる。

粗利益で儲ける時代は終わった
 次の問題として、ではこの2つの指標をどうやったらよくしていけるかが問われる。
 まず売上高粗利益率はどうか。これを伸ばすコツは「安く仕入れて高く売る」だが、これが可能だろうか。買取で40万円儲かったとか、高いプライスで売れたとか、そうした商法は現在の価格競争のなかで通用しなくなってきた。むしろ、台当たり粗利益の減少傾向はますます強まると考えたほうがいいだろう。ましてや市場は、低年式主体にどんどん移行している。
 そうすると、なんで儲けるのか。いうまでもなく回転率で儲けるしか方法はない。回転率を高めるコツは「より低い粗利益で売る」にある。薄利多売である。問題は、薄利多売で利益を確保するにはどうしたらよいかだ。原価を減らすことと、経費を節減すること。つまりローコスト・オペレーション経営が不可欠であり、これこそ今後の中販店経営のひとつの勝ち残り戦略であるといえるだろう。
 だから、人件費の高いプロ営業マンが本当に必要なのか。素人なみの営業マンで売れる仕組みをつくれないのか。あるいは長期在庫車を10%以下に押さえるのが必須となってくるが、そのために全体管理ではだめで、徹底して単品管理を行わねばならない。そうした本当の経営管理がこれからの中販店に求められてくる。
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