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  ● 経営管理講座 : 新・中販店経営講座
慢性的な良質の玉不足、新車ディーラーの加速度的な中古車ビジネスの拡大、消費税の税率アップの不安など中古車専業店の経営は厳しさを増すばかりです。そうした中で、勝ち組になるための新しい経営の「視点」や「仕組み作り」をご提案いたします。

 □第1回講座
  売れない時代の集客力
   強化策


 □第2回講座
  品揃えはお客様に聞け

 □第3回講座
  なぜ売れないのか

 □第4回講座
   回転率こそ中古車
   経営の命


 □第5回講座
   単品管理こそ長在車
   対策の秘訣


 □第6回講座
   女性客をつかまえろ(1)

 □第7回講座
   女性客をつかまえろ(2)

 □第8回講座
   農耕型中販店へ
   発想転換しよう


 □第9回講座
   買取りで仕入れ力を
   高める(1)

 □第10回講座
   買取りで仕入れ力を
   高める(2)

 □第11回講座
  求められる「売り込む」
  から「買ってください」へ
  の発想転換





 
  

善戦している併設店の秘訣
 「信用は店舗に蓄積される」。つまり店舗ブランド論からいえば、買取専門店のほうがユーザーに対してより大きな安心と信頼、そして高値買取りの期待感を与えることができる。しかし、専門店を新たに設置する上でめぼしい物件がない、あるいは資金的に当面は困難という場合は、小売りとの併設で買取を強化していかねばならない。実際に、併設で健闘している買取店も少なくない。こうした健闘している買取店に共通した条件として次の5点をあげることができるだろう。

①買取りの専従要員がいること。
 小売に比べて買取のほうがより高い商談技術と経験、そして心配りと機転が求められる。
その巧拙が成果に明確に反映される。そこで、もし買取りと販売の両方を兼任させたならば、必ず販売のほうに重心をおき、買取をおろそかにしがちとなる。そのほうが気持ちの上で楽だからだ。したがって、販売がどんなに忙しくとも、買取要員は買取り業務に専従させる、経営者にはそうした強い姿勢が求められる。

②買取と小売りの評価と責任が明確になっていること。
 前項と同じ理由で、買取りスタッフの成果を数値的に評価し、褒賞する必要がある。そうした評価制度を明確にする。買取車を小売り部門で販売する場合は、社内取引の基準をあらかじめ設定おくこと。たとえば、AA落札価格のプラス2万円というように。

③出張査定に対応できること。
 出張査定は、買取ビジネスをやるうえで不可欠なサービスである。できることなら積載
車を持ちたいもの。お客さまからの査定依頼に対して、すぐに積載車でかけつける。そうした姿勢をお客様に示すことによって、お客様に売却の意思決定を促すことができる。

④「買取」の看板を小売り以上に強くアピールしていること。
 展示場を見ればお客さまは中古車を販売していることが分かるだろう。だから、よい車
が置いてあるかが問われることになる。これに対して買取りにはモノがない。信頼や期待感といった「ソフト」の部分が問われる。としたならば、この部分を小売り以上にアピールしていく必要がある。また、買取中心のイメージ作りをすることによって、お客さまに「産地直送」な新鮮味を訴求することが期待できる。

⑤トップが買取りこそ小売りの生命線であるという認識をしていること。
 最終的には、買取の成否はトップの姿勢によって左右される。「できたら買取りたい」という安易な気持ちでは決して買うことができないだろう。経営トップは「買取こそ中販店の生命線」という不退転の方針をもたれるならば、おのずと上記の①~④の課題は解決されるに違いない。


買取り要員の育成
 買取は、いわば定価のない商品を素人であるユーザーから購入するわけだから、車の販売に比べて非常にきめ細かな対応が求められる。店舗とともに人材が占めるウエイトは小売り以上である。

①話させる雰囲気作りに努める
 話し上手より聞き上手。小売の営業マンとの最も大きな違いはここにある。即決のお客さまはそういないはずだから、十分に時間を提供してお客さまの気持ちをつかむ。そうした商談の雰囲気作りを心がけさせたい。

②情報収集を密にする
 お客さまを知り、敵(ライバル店)を知れば、対応の仕方が見えてくるはず。車の使い方の状況、今まで回ってきたライバル店と最も高い価格を提示したお店を聞きだすことができれば買取にほぼ成功したといえる。

③つねに期待感をもたせる
 「他の店を回ってくる」そうしたお客様を黙って帰らせるような営業マンは買い取れないだろう。「必ずもう一度戻ってきてください」の仕掛けと話法を工夫する。

④お客さまの利益のことを考える
 基本的なスタンスは、できるだけ高値で買い取れるようお客さまと一緒に考えてやること。安く買い取るために車にケチをつけるような営業は、お客さまの心を閉ざしてしまうからだ。

⑤決め手は「しつこさ」ではなく「熱心さ」
 買取りは、最終的には人と人との関係である以上、何よりも買い取り担当者個人に対する感情が大きく作用する。たとえば、買取担当者の対応の仕方や人柄が、他店に足を運ばせるのを止めて、そこで決定することもあるはずだし、また他店に比べて1~2万円安くとも「どうせ売却するならばあなたに任せよう」とお客さまもいるはず。このお客さまに「どうせ売るなら君に」という気持ちにさせるものは何だろうか。

 お金以外のものであるとしたら、それは「熱意」「一生懸命さ」をおいて他にない。この「熱意」とか「一生懸命さ」は単なる“しつこさ”とは違う。“しつこさ”は自分の目的を達成するためだけのもの。そうではなく、純粋に仕事に懸命になる姿勢がお客様を動かすのである。

 『このお車はいいお車ですので、ぜひとも私に扱わせてください。大切に売ります』
『私も少しでも高く売れるところを一生懸命に捜しますので、必ずお声をかけてください。よろしくお願いします』

 こうした“ひたむきさ”がお客さまに「根負けしたよ」「そこまでやってくれるなら任せるよ」と言わせるのではないだろうか。そうした買取り要員の育成が買取で成果を上げる決め手だし、そのためには何よりも経営者自身がそうであらねばならないだろう。


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