□第1回講座
売れない時代の集客力
強化策
□第2回講座
品揃えはお客様に聞け
□第3回講座
なぜ売れないのか
□第4回講座
回転率こそ中古車
経営の命
□第5回講座
単品管理こそ長在車
対策の秘訣
□第6回講座
女性客をつかまえろ(1)
□第7回講座
女性客をつかまえろ(2)
□第8回講座
農耕型中販店へ
発想転換しよう
□第9回講座
買取りで仕入れ力を
高める(1)
□第10回講座
買取りで仕入れ力を
高める(2)
□第11回講座
求められる「売り込む」
から「買ってください」へ
の発想転換
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池のなかに鯉が10匹いる、その鯉を釣ろうとする釣り人が5人いる。一人当たり2匹の鯉を平等に釣れば皆がハッピーの気持ちで家に帰ることができる。だが、腕前はそれぞれ異なる。一人が5匹、一人が3匹、もう一人が2匹釣ってしまったら、あとの2人はボウズで帰ることになる。
こうした需要限定時代における競争社会、いわゆる「ゼロサム社会」の到来をずいぶん前から言われてきたが、中古車販売業界は遅ればせながらというべきか、今まさにこのゼロサム時代に直面している。
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よいサービス=売るための活動の時代 |
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販売に占める軽自動車の割合が30%を超えると共に、軽自動車専門店と称する中販店が急増してきた。いち早く軽自動車販売に進出してそれなりの実績を上げてきたお店も、あっという間に回りにライバルが増えた。ところが軽自動車の需要はそう増えるものではない。当然、ボウズを引くお店が出てくる。
池のなかの鯉の数は限られている。としたら、競争のやり方も違ってくる。これまでのように大量の広告宣伝費を投入して新規需要を開拓してきた手法は、費用対効果の面からも限界にきている。これまでの狩猟型から転換し、お客様を育てる農耕型の中販店へ脱皮していかねばならないだろう。農耕が畑と共に生きるのと同じように、われわれの畑である地域(商圏)と共に生きる経営へ意識の転換が求められる。
商圏と共に生きる経営とは何か。簡単にいえば、売ったあとを大切にするということだ。
もちろん売る前の努力が必要でないということではない。ただやみくもに売り込む努力をしても実ってこないということだ。最大の原因は、新規需要の減少、言い換えれば代替および増車需要がメインになってきたこと。つまり今クルマを使用している人に次の車を販売する。失敗体験も含めて何回も代替の経験を持つ人にだ。
売ったあとが大切だということは、そのことがとりもなおさず売る努力になってくるということを意味する。今のお客さまに満足を与えられなければ車は売れなくなる。なぜなら、いまのお客さまの満足を通じて
?リピート需要の確保(次回代替をはじめ、整備や保険などの関連収益の取り込み)
?よい口コミの広がりを通じて新規客の紹介
が期待できるというものだ。 |
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徹底したい「すぐ間に合う」と「面倒見のよさ」 |
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「よいサービス」の原則には「フレンドリーな応対」や「案内がしっかりしている」ことなどいくつかあげられるが、そのなかでお客様の満足度を左右する重要な原則は「すぐ間に合う」ことと「面倒見のよさ」の2点である。
自分の経験を思い出してもらえば分かることだが、サービスの真髄は「困ったときの救いの神さま」である。雨の中、クルマがエンストしてしまった。そんな時、お店と連絡がつかなかったり、連絡がついても、待てど暮らせど来ないではお客様の不満足を招くことになる。「間に合わない」サービスはサービスではない。クルマの商売をする以上、JAFやロードサービス会社との積極的な対応をする、また万一の場合の連絡方法などを事前にしっかり案内しておくなど、どんなときでも対応できる体制を考えておくことが欠かせないだろう。
整備工場を併設していないお店が少なくないが、これからの中販店においてサービス機能の保有は不可欠だろう。車検設備を持たなくともクイックを中心としたサービス機能が必要である。小さくともいいから専用のサービスストールをつくり、窓口の担当者を決める。「ウチは売るだけ」のお店はユーザーの信頼を得ることができない。
アフターサービスの提供はお客様の安心を得るだけでなく、「その面倒見のよさ」を通じてリピート需要を確保することができる。とくに効果的なやり方は定期的な巡回サービスの実施である。当社『株式会社ティオ』では、これまで数多くの整備工場から委託を受けてお客様満足度調査を実施してきたが、そのなかで必ずお客様の要望事項のベストスリーにでてくるのが、この巡回サービスである。お客様は「安全の保証」を求めているからだ。
ただし、なかには「用事があれば、こちらから行くので来ないでほしい」というお客様もいる。共稼ぎのお客様も増えてきているのだから、こちらから一方的な押し付けであったら逆にありがた迷惑になる。事前に、お客様に「(お車の安全チェックの上で)どういうやり方が良いのか」を確認すると、良い印象を与えることができる。 |
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守るためのコストが大切 |
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サービスをよくするほどコストが増える。たしかにその通りであるが、大切なことは「次回の代替需要の確保」と「よい評価を通じて新規ユーザーを開拓する」ために、どんなサービスにコストを投入すべきかを考えることだ。
私たちは、広告宣伝など新規ユーザーを開拓するために多額のコストに投入するが、このコストの費用対効果が悪化してきている。
それも必要であるが、これからはお客様を守るためのコストを効率的に投入するかが問われている。まず「すぐ間に合う」と「面倒見の良さ」この2つのサービスに絞り込んでいただきたい。この2つを徹底すれば、上述した2つの地域マーケッティングの目的を達成できるにちがいない。 |
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